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なでしこ通信vol.04 城浜団地

2018年08月01日 なでしこ通信

共同住宅の住民の半分が65歳以上という城浜団地。転入者も70、80代の高齢者が多いといいます。そんな特色のある城浜団地に住んでいる方々は、どのような工夫をしてまちづくりをしているのでしょうか。どのように日々を過ごしているのでしょうか。城浜団地の「いま」と「これから」について、こちらのお二人に語っていただきました。

――この団地の好きなところはどこですか?

東田 まず、公民館のあるこの広場。公民館、学校、幼稚園が集まっているから、私はここを「公学園広場」と呼んでいます。小学校の3階から百年公園へ夕陽が沈むのを見たときは、自分の人生を見るような思いがしましたよ。それから、「城浜団地」と書かれてある石碑。水上飛行場跡。いくつかの共同住宅の壁面に描かれているカモメの絵。これらが私の好きな、城浜団地を象徴する景色です。

井上 私は、とにかくこの団地が大好きです。ここで子どもを育ててきたし、孫もここにいます。城浜に住み始めたときには子どもが二人いて、こちらで双子を出産しました。子育ては大変だったんですけど、同じ階の方が毎日きてくれて、二人の風呂入れから買い物から何でもしてくれました。団地に越してきていなかったら、私は子どもを育てきれなかったかもしれない。本当にずっとお世話になってきたから、自分も団地のために何かしていかないといけないなあ、という思いです。

東田 「昔はよかった」と言う人がいますが、今を幸せに感じられるのがいかに素晴らしいことか。今に希望や喜び、夢を持てるのは、いい人に囲まれているからですよ。そう感じさせてくれる城浜が、やっぱり好きですね。

――ここには住民同士の良い人間関係、信頼関係があるのですね。

井上 私は声かけがすごく上手なんですよ。例えば、小学生のときから知っているような子がいま大人になっているでしょう。見かけたら声をかけて、「今度夏祭りあるったい?ちょっと手伝うてくれん?」とか言って。そしたらみんな快く引き受けてくれます。

「こういうことをします」じゃなくて、「こういうことしたいから話し合いたい」「こういうことしたいけどどう思う?」と言うと、みんなが意見をくれる。私は本当にみんなに助けられています。

東田 共同住宅の階段が外からよく見えるでしょう。階段をのぼったり降りたりしている姿が見えるだけで、住民を身近に感じます。住宅からも外が見渡せるので、誰々さんが公園でなんかしよったね、病院に行きよったね、というのがよくわかります。みんなに見守られているという安心感があります。でもエレベーターが増えて、それも少なくなりつつあるように感じます。それに昔は表札があったけど、今はありません。誰がどこに住んでいるのかわからないと、手を差し伸べたくてもそれすらできない。だからどこにどんな人が住んでいるのか、住民同士でも認識しておくことが大事ですね。

井上 孤立死を防ぐため、ここでは「見守りカルテ」というのをつくっています。かかりつけ医や緊急連絡先、長期不在する場合は不在しますカードを自分の意思で町内会長に預けることができます。5年以上前に始まったこういったシステムもだんだん浸透してきて、関係構築、住民の安心につながっています。

――そういった仕組みができるなど、少子高齢化を含め、時代とともに団地も変化していると思います。これから城浜をどんな団地にしていきたいですか?

井上 今年の4月に自治協議会の会長になったばかりで、まだまだ手探りです。ただ、高齢者が非常に多い中いかに次の担い手を掘り出していくか。これは常に考えています。高齢者を守っていくのはもちろんですが、次の世代を育てていくこと、これが私の仕事です。現役で働いている世代の人は、仕事があって忙しいです。でもそんな中でも地域の役割を引き受けてくれる。そういう人が必要だと思っています。東田さんのように長年清掃活動をされ(緑綬褒章受賞)校区のために体の続く限り団地に奉仕する気持ちで頑張ってありますので今後も次の世代を育ててこそ校区が成り立っていくと思います。

東田 ここには、団地を守っていこう、良くしていこうという気持ちを持っている人が大勢いるんですよ。それは何かのかたちになって表れます。例えば、今年の夏祭りは例年よりも協賛者が増えていました。それを見たらどこかで誰かの力が働いているということがわかって、嬉しい気持ちになりました。住み心地というものは建物や施設の問題じゃない、そこにいる人たちの心の問題だと、ここにいるとつくづく思います。

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