今夜の名島公民館2階ホールは、プロミュージシャンのリハーサルスタジオさながらの風景。音楽に乗せて伝えたい熱いお気持ちもあると知り、練習の準備をされている「名島軽音楽部」のみなさんのもとへお邪魔しました。
――どのような経緯で結成されたのですか?
マイク田中 2018年10月に開催された「名島校区ふれあい文化祭」のステージに立つために、このメンバーで演奏したのが始まりです。それまでも、各々組んでいたユニットがあったり、セッションしたりと縁があったものですから、自然と引き寄せ合うように集まったという感じですね。
――主に演奏されるジャンルは何ですか?
ジョニー後藤 アメリカンポップスです。1960年代と1970年代の曲を演奏します。この間は、80歳くらいのお客さんがツイストを踊りだして、年齢を越えて楽しめるのだと、あらめて実感しました。メンバーそれぞれの好きなジャンルも演りますよ。
ラッキー宮原 〝プレスリーからピンクレディーまで〞 演奏ジャンルを説明するときにはそう言っています。
リーダー若狭 僕らもお客さんも、みんなレコードで聴いて知っている曲ばかりです。でもやっぱり、往年のアメリカンポップスが中心になっちゃいますね。子供の頃に聴こえていた、米軍ラジオからの音楽に影 響を受けた世代ですから。気持ちはずっと10代のままです。
――演奏用にどうやって編曲されているのですか?
キャサリン その曲の音階に沿って和音を探し、譜面に書き起こします。コード進行の判る曲は調整もしやすく、ギターはそれだけでも演奏できますが、鍵盤を弾くキーボードの場合は、楽譜をつくるのが大変です。
マイク田中 彼女は、ピアノ教室の先生なので、ぜひメンバーにとスカウトしました。本格的な音楽家がいてくれると心強いし、幅も広がりますから。
――文字通り、音を楽しむという雰囲気が伝わってきますね。お得意のナンバーや定番の演目はありますか?
リーダー若狭 「カントリー・ロード」がそうですね。多くの人が知っているので、決まって盛り上がる曲です。ザ・ロネッツの「ビー・マイ・ベイビー」もオープニングに良く演奏します。お客さんの反応も良く、みんなの演奏もノッてくるので。
――1回のステージで何曲くらい演奏されますか?
ジョニー後藤 催しによって、与えられる時間が異なるので、一概に言えませんが、制限がなければ永遠にできますね。機材の準備や片付けを、自分たちで行うのはくたびれますが、三度の飯より好きな音楽、みんな演りだしたら止まらない。だから、公演ごとに進歩していますよ。
――その音楽と同じくらい、歴史の話でも共鳴されることが多いとお聞きしています。
リーダー若狭 そうなんです。音楽と歴史の話は尽きません!その話をすれば、誰とでも自然に仲良くなれます。そうやって、ここにいる恐れ多いほどのメンバーとも一緒になれたのですから。自分が生まれ育った街のことを、たくさん語り合いたいですね。ご年配の方々には懐かしんでもらいたい、子供たちには成り立ちを知ってほしい、そんな想いです。名島にとどまらず、城浜や千早など、この地域一帯の歴史を伝えていきたいんです。そのために名島神社の神主もメンバーにいますし、歴史を伝えるオリジナル曲もつくりました。
――音楽を通じた、伝承活動でもあるのですね。
ジョニー後藤 雅楽器とのコラボ演奏もやっていたりします。私も70年近くこの場所に住んでいますから、思いもひとしおです。
マイク田中 昨年、福岡市の橋としては初めて国の有形文化財に登録をされた「名島橋」も、校区の宝。そういうことも、たくさんの方に知ってもらいたいですしね。
――熱いお気持ち、響いてきます。発表できる場所があるのも嬉しいことですね。
マイク田中 基本的にはみんな目立ちたがり屋だから、それがないとですね。古希になるけど、まだまだ楽しみますよ。
ジョニー後藤 練習よりも本番が楽しくなってきました。自分たちが楽しめば、その分お客さんの歓喜が戻ってきますから。
キャサリン 楽しいですよ。ひとりだと得られない感覚です。みんなのレベルも高く勉強になります。もっと多くの方に聴いてもらうためにも、練習に励みます。
ナナ 息子二人も大学生になり、燃え尽き症候群でしたけど、音楽の楽しさを教えてもらいました。お客さんにも喜んでもらえるし、もう生きがいです!
コマスター後藤 人前に出るとアガることもあるんですけど、細かいことは気にぜず、お客さんを笑顔にしていきたいです。
ラッキー宮原 数十年ぶりの音楽、この仲間に乗せられて楽しませてもらっています。高校生の頃には難しかったフレーズが、弾けるようになるはずです!
リーダー若狭 音楽っていいですね。誰もがひとつになれる気がします。少年少女の顔になって演奏するメンバーと、あの頃の気持ちで地元愛を奏でていきたいです。
インタビュー後に、定番ナンバーを含む3曲をご披露くださいました。 地域の〝記憶と気持ち〞を伝える「地元熱中ライブ」は、これからの季節をよりホットにしてくれそうです。