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なでしこ通信vol.15 しろうおカフェ おれんじ

2019年10月31日 なでしこ通信

毎月1回、第4土曜の午後に開かれるカフェ。秋の陽気に包まれる多々良公民館では、その準備が整いつつあります。開催の目印となる、のぼりと看板が立てられた会場に伺います。

カフェレポート

認知症の方やその家族、医療や介護の専門職、さらには地域の人々、誰もが自由に立ち寄れる場所として、催されているこのカフェ。政府が策定した、2012年の「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」、2015年の「認知症施策推進総合戦略 〜認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて〜(新オレンジプラン)」に基づいて、日本でも盛んになりました。このプランにちなんで、オレンジカフェとも称され、認知症ケア先進国オランダで生まれたアルツハイマーカフェをお手本に、楽しむ、学ぶ、つなぐ、の3要素で構成されていて毎回、カフェタイム、ミニ講話、ミュージックタイムが用意されています。また、一角には、関連機関の資料を数多く揃えた情報コーナーも。テーブルには専門職も一緒に談笑しながら、相談にも乗ってくれます。そんな、しろうおカフェおれんじは、近隣の介護事業所や病院など、14事業所でつくる有志団体「ひがしかぜの会」が運営し、多々良校区の自治協議会、社会福祉協議会、民生児童委員協議会、そして公民館が脇を固めています。

会場には、心地よいBGMと、今日はアロマの香りが。テーブルにはチョコやスナック菓子が置かれ、コーヒー、紅茶、カフェラテ、緑茶、好きな飲み物を小学生ボランティアが運んできてくれます。公民館講座〝スイーツ教室〞で作ったお菓子を準備することもあるそうです。それをいただきながら、自己紹介しあったり、近況を伝えたり。自由に話せる、気楽に聞ける、ほのぼのとした雰囲気です。談笑と相談の時間を過ごした後に、ミニ講話が始まりました。今日は「タッチ×アロマで認知症予防」というタイトル。香りの効能についての説明と、タッチケアの実践です。嗅覚の衰えは物忘れの前兆とも言われ、芳香療法が認知予防に良いという話に加え、ペアを組んでのハンドマッサージや、相手を褒め合う余興で、場が沸きました。つづいて、ミュージックタイム。音楽療法士の奏でるキーボードにあわせ合唱です。歌詞に合わせた体操もあり、音楽の作用についての話も。いい声が出て、にこやかなムードです。そんな中、最後の歌となり、お開きに。豊かな気分にな れる2時間、まさに、このカフェの醍醐味を味わいました。

メンバーインタビュー

――はじまったきっかけを教えてください。

カフェ形式で気軽に相談できる場所をつくりたかったんです。それが可能なスペースを探していました。民間施設や企業だと、事業色が濃く出てしまうので、公民館での実現を望み、相談を持ちかけました。すると、縁ですね。もともと行なわれていた「しろうおカフェ」も、多くの人が公民館を訪れるようにとの目的だったので、想いがひとつになったんです。それで、はじめることができました。2017年9月「しろうおカフェおれんじ」としてスタートし、ちょうど丸2年です。

――ひがしかぜの会という名前の由来は?

この地から風を巻き起こそう!という気持ちを込めています。モデル校区かと聞かれることもありますが、そうではなく、自主的に行なっている任意団体です。チームワークも良いですよ。利害を越えた横のつながりで、共に頑張っています。そうはいっても、自分たちだけで出来ることではありません。自治協議会にはチラシの配布をお手伝いいただき、民生委員が児童や学生たちの参加を取り持ってくれています。公民館も場所はもちろん、サークル活動との継ぎ手になってくださり、地域のバックアップがないと、叶わないことばかりです。

――公民館や地域にとっても、頼もしい活動ですね。

いろんな人に来て欲しい、知って欲しい。目指すところは同じ。ですから、互いの利点を活かして、支えあっています。子供食堂の子供たちを招いたこともあります。あの小学生兄妹も公民館ボランティアから派生して、いまではこちらのマスコット的な存在です。ハンドベルのクラブを呼んで、演奏してもらうこともありますよ。ただ、周知と呼び込みは難しいですね。校区に限らず、たくさんの人に知らせたい。だから出張開催もしていますし、工夫しながら、接点を増やすことに注力しています。

――想いが、引き寄せあっているように感じます。

いろんなことが、トントン拍子に運んだところはありますね。運営資金が少ないのは悩みですが、メンバーの厚意によって凌いだり、ノウハウを持ち寄りながら運営しています。そうしていると、必要な物事は不思議と連なるものですね。来年初頭には、なみきスクエアの事業で体験型コンサートや演劇を、ここで催してもらえることになったんです。とても有り難いことです。

――これからに向けて、お気持ちを聞かせてください。

みんなで声を合わせて伝えたいです。今のご時世、認知症の人は近くにいますから、普通だと思ってください!と。周りに居ないと、まだ特別なことかもしれませんが、だからこそ、大丈夫なんだと知って欲しい。それが解る、アットホームな場所にしたいです。認知症であっても、そうでなくても、お年寄りも、子供たちも、地域の人も、それ以外の人たちも、スタッフも。みんなの居場所でありたいと願っています。堅苦しくなく、ざっくばらんに、誰もが憩える、おしゃべりの場。それを続けていきたいです。

縁が重なり、輪が広がっていく、いろんな人がホッとする場所。
特別じゃない当たり前の光景になる日も、そう遠くない気がします。

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