少し肌寒さが感じられる霜月最後の日曜日。今日は恒例、1年に1度の「ご長寿ふれあい会食会」。ボランティアの方々は頭巾にエプロン姿。会長をはじめ、みなさん右に左に忙しそう。そんな会場の入り口には彩とりどりの傘の花、大勢の参加者が集まってこられました。なにかと動き回られている会長ですが、会食の合間を縫ってお話を聞かせていただきました。
――とても珍しい会食会ですよね?
福岡市内ではここ下山門校区だけです。毎年11月の第4日曜日に開催していますが、これだけの人数を集めて催すのは、決して楽ではありません。今回は参加者が230名ほど、来賓や舞台に立たれる方々、関係者など含めると、総勢300名ほどになります。配食という手法もありますけど、賑やかにワイワイ楽しみたいので、私たちはこのスタイルでやっています。そのほうが活力にもなり、会って会話することで笑顔も増え、安心感にもつながりますから。なにより、毎年「また会いましょうね」と言ってくれる参加者の声が、やる気を奮い立たせます。その約束を果たすために、今年もこうやって催しているんです。
――このようなスタイルになったのは?
6年前からです。我が子の担任だった先生が、校長としてこの下山門小学校に戻って来られたので、これは良い機会だと、体育館を使わせてもらえるようお願いをしました。それまでは公民館で開催していました。100名分ほどを、その場で調理して。ですが、調理も大変ですし、参加者も入りきれなくなってきた頃だったので、渡りに船でした。おかげで、いまではこんなに多くの方々に集まってもらえるようになって。当時はまだ副会長でしたが、その2年後から会長を務め、2年任期を2回、かれこれ4年になります。
――社会福祉協議会会長と民生委員会長の兼任は、あまり聞いたことがありませんが…。
そうでもないですよ。近くにも同じような方がいらっしゃいます。下山門校区は、当初からそのような成り立ちでしたから、必然的に兼任となるんです。
――だからこのように盛大な長寿祝い、というのも納得できます。
でも、なにかと苦労するんですよ。豚汁は朝早くから仕込みを始めるんですが、ずいぶん大きな鍋でも人数分用意するには2度作らなきゃいけませんし、今年は小学5年生の児童たちと参加者が一緒に育てたお米を30キロ分、炊きました。準備もさることながら、それを配膳して回るのもひと仕事。頬が落ちるほどの美味しさだとの好評ぶりが、心の支えです。それよりもなによりも、実施費用を集めるのが一番大変!各所から協力を仰ぎますが、いつも悩みの種で。野菜が高騰した年なんかはお手上げに近い状態でした。それでも、テーブルの花やランチマットを手作りするなど工夫をして、なんとか毎年実施できてます。私、やりくりが得意なんです。
――ほかの活動はどのようなものがありますか?
春や夏は、自治会ごとにスイカ割りや手作り工作など「ふれあい活動」を行なっています。校区全体の催しは、もうひとつ。これも恒例の「餅つき」です。300名分ほどを用意し、公民館で配ります。実は12月第1週目の土曜日が開催日、この会食会のすぐ後に続きます。自分でもどうかしていると思うこともありますし、ものすごく立て込むのですが、みなさん楽しみにしていらっしゃるので頑張らないと。ですから、あおやぎさんが餅のつき手などを買って出てくれて、とても助かります。先日の民生委員西区大会でも壇上に生花を飾っていただきましたし、研修旅行でもバスを出してくださったり、いつも心強い味方です。
――これからの展望があれば教えてください。
ボランティアとして携わっていただける方の数を増やしたいです。活動に厚みをもたせるためにも、裾野をひろげ母数を増やしたいと思っているんです。小学生の孫がいるので、その親御さんたちに声を掛けたりして集まってもらっていますよ。ちょっとでいいので手伝ってくれる人、いわゆる〝ちょボラ〞の方々が、もっともっと多くなってくれるとありがたいですね。
――そんな活動をなさる中で、嬉しいことは何ですか?
大変ではあるけれど、笑顔が連鎖していくの は喜ばしいこと。会食もこうやって、最後まで席を立たずに楽しんでもらえて嬉しいですし、この活動が根付いて参加者がますます増えることも嬉しいです。やっぱり、人が来ないとね!たくさんの方が集まってくれること、それが何より嬉しいです。
雨もすっかり上がって、晴れ間から太陽の光が射す校庭。ほっと、気持ちも温まる景色です。参加されたみなさんも満面の笑 みで、賑やかに朗らかに家路に。来年もまた、会いましょうね。